これからの生き方。

これからの生き方。

はじめに

総評

 前半:漫画 後半:ワークの2部構成となっており、前半の漫画編では出版社を舞台にしたストーリーで主人公である女性社員を中心とする登場人物たちがチーム・組織の中でそれぞれの仕事観と課題感の狭間で葛藤しながらも前進していく様子が描かれており、後半のワーク編では前半のストーリーを振り返りながら今、そしてこれからを生きるために大切な価値観について考えるコンテンツが集約されています。
 以下の読むポイントにも記載しますが、「価値観は変化をしていくもの」という前提に立つと何度でも振り返り読み返す価値のある一冊です。

こんな方にオススメ!

・今後のキャリアについて悩んでいる方

・このまま現在の就業先でキャリアを築いていくことに不安のある方

・漠然とした人生・仕事に対する不安のある方

著者紹介

 著者の北野唯我さんは過去記事の「OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める」においてご紹介しております。よろしければ以下の記事をご覧ください。

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ポイント解説「ここを読め!」

①労働価値と人間の好き嫌い

 職場における衝突の大半は、価値観が異なる人同士で生じることが大半です。良好な人間関係を築いていく過程ではこの価値観について「自身」と「他者」の両側面から解像度を高める(=理解を深める)ことが重要になります。

 アメリカの心理学者 ドナルド・E・スーパー氏の提唱をアレンジし本著では以下の14の労働価値(仕事で大切にしたい価値)が紹介されています。

1. 能力の活用:自分の能力を発揮できるということ

2. 達成:良い結果が生まれたという実感

3. 美的追及:美しいものを作り出すということ

4. 愛他性:人の役に立てること

5. 自立性:自立・自律できること

6. 創造性:新しいものや考え方を創り出せること

7. 経済的価値:たくさんのお金を稼ぎ、高水準の生活を送れること

8. ライフスタイル:自分の望むペース、生活ができること

9. 身体的活動:身体を動かす機会が持てること

10. 社会評価:社会に仕事の成果を認めてもらえること

11. 危険性、冒険性:ワクワクするような体験ができること

12. 社会的交流性:色々な人と接点を持ちながら仕事ができること

13. 多様性:多様な活動ができること

14. 環境:仕事環境が心地よいこと

(北野唯我 , 2020 ,208-209)

 本質的に働く理由というのは完全に一つのものがまとまって存在するのではなく、複数の価値観で構成されています。つまり、上記14の項目の中でどれか一つということではなく複数の価値観があり、それぞれに強度も存在します。加えて、大切なポイントは「価値観はライフステージに応じて変化していくもの」ということです。

・体力が落ちてきて昔のような働き方ができなくなった
・子どもが産まれて時間の使い方に変化が出てきた

など、人生は常に変化していくものであり、同時に価値観も変化していきます。
今の価値観を明確にすること、そして定期的に価値観を棚卸しすることも重要なポイントです。

人間の好き嫌いは二階建てになっているという考え方が説明されています。

2階部分:思想的な好き嫌い

複雑でかつ、お金で解決できないという特徴があります。
そして何より正解が存在しません。
いくら相手に論理的な説明をしたとしても本質的に相手の思想を変えることは難しいことです。

1階部分:身体的な好き嫌い

「こういう服を着たい」「こういう食べ物をは嫌い」といった衣食住と深く関連する特徴があります。
とても大切なことではありますが、ほとんどはお金によって排除も獲得もできて解決するため、キャリアを積み上げていくに連れて重要度は下がっていく傾向にあります。

 思想的な好き嫌いは複雑でありますが、「自分と他人は違う」という考え方では平行線を辿るままになってしまいます。
・自分の価値観を定期的に分析し忘れないように何度も確認する
・その上で相手との価値観は何が同じで、何が異なるのかを確認する

これらを粘り強く繰り返して、丁寧に探っていくことで思想的な好き嫌いとはうまく付き合っていくことができます。

②価値観は分散して満たすということ

 今の仕事に満足していますか?という問いに対して即答で自信を持ってYESと答えられる方は少ないのではないかと思います。特に①で紹介した価値観ワークなどで自身を振り返った後であれば尚更です。「仕事内容は好きだけれど人間関係が、、」「給与がもう少し安定していれば」など自身の価値観にピッタリあった環境というのは中々に難しいものでもあり、どこかで我慢や妥協をしている部分があると思います。

 ここで大切になることが「一つの場所で全ての価値観を求めすぎない」ことです。自分の価値観の中でAとBは仕事で満たして他の要素は他の違うところで満たすという選択をしていきます。例を挙げるのであれば副業がわかり易く、近年副業解禁となった方々も多いかと思いますが、その中でも稼ぐことばかりに目を向かせるような情報発信も少なくありません。しかし、本業ではできない経験や挑戦を副業で取り組むという側面を忘れてはいけません。人生という枠組みの中で本業で満たすことのできない価値観を別の方法で満たすために副業を行うという考え方も大変に魅力的であると思います。

③過去ではなく「これからどう生きるか」が問われる時代の孤独と覚悟

 相対的に寿命が長くなり、日本において新卒一括採用からの終身雇用制度は終わりを迎えていると言っても過言ではありません。働き方の選択肢も格段に広がり個々人が素晴らしい未来を築くためにも、これまで何をやってきたかを整理することや、先代の成功例を追いかけていくばかりでなく、これから先をどう生きるかの選択にこそ時間と労力をかけていくタイミングにあるとも言えます。

 やりたいことを実現する人に共通することは、自分自身の強い面も弱い面もよく知っていることです。たくさん自分に向き合ってきた分だけ、自分が心地よい状態から一番得意な戦い方まで熟知しているとも言えます。その過程では様々な経験、機会、ご縁を通じて自分の差分に気が付くことが大切です。

・自分は他人と「何が」違うのか
・今の自分は1年前の自分と「何が・どう」変わったのか
・あの意見には賛成できるが、「なぜ」コチラの意見には賛成できないのか

など、主観的に体験したことを客観的に分析することを繰り返していきます。
この繰り返しこそが違いに気づき、当たり前だと言われることに疑問を持てる力を磨いていきます。

 科学・技術・医療の発展は加速し続け、不確実と言われる未来を「これからどう生きるか」という問いに絶対の正解はなく、孤独な時間も含めて逃げずに自分と向き合い続ける覚悟から第一歩は始まると言えます。

まとめ

さて、今回ご紹介した「これからの生き方。」ですが、自分を見直すという価値観整理から始まり、これから先をどう生きるか自らに問いながら読み進めることのできる内容でした。会社・組織に依存したキャリア形成は終わりを迎える中で個々が自律した未来を描くためにも基本が詰まった一冊です。

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