超訳 LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

超訳 LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

はじめに

総評

 リンダ・グラッドン氏によって提唱された「人生100年時代」の考え方が簡潔に理解できるエッセンシャル版として発売された書籍です。原作はボリューミーでもありますので、少しばかりまとまった時間と読了に向けて向き合うための覚悟が必要かもしれない、、という方にもおすすめできる一冊です。健康寿命の延伸をベースに変化していくこれからのライフステージにおいて大切になってくる「キャリアの考え方」が簡潔にまとめられています。キャリアという言葉から仕事の側面だけをイメージしてしまう方も少なくないかもしれませんが、その仕事もライフステージを構成する1つの要素であり、充実した人生を切り拓いていくために大切な働き方・学び方・(無形)資産の考え方を見つめ直させてくれる一冊です。

こんな方にオススメ!

・これからのキャリアについて考える転機を迎えている方

・「人生100年時代」まずはその大枠に触れてみたい方

・原作の「LIFE SHIFT」や続編「LIFE SHIFT2」を読むか悩んでいる方

著者紹介

 著者のリンダ・グラットンさんについてご紹介します。世界最大のビジネススクールであるロンドンビジネススクールの教授で、組織論・人材論の世界的権威として世界でもっとも権威のある経営思想家ランキング「Thinkers50」には2003年のランキングから最新の2021年版まで毎回選出されています。世界経済フォーラムの「新しい教育と仕事のアジェンダに関する評議会」の共同議長を務められ2013年からダボス会議に参加をし、2018年には安倍晋三首相(当時)から「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命された過去もあります。アンドリュー・スコットとの共著『ライフ・シフト』は日本でベストセラーとなり発売から時間が経った現在でも多くの人の手に取られる一冊です。

ポイント解説「ここを読め!」

①人生100年が当たり前になる?

私が別のお仕事に機会に使用したスライド資料です。

日本の平均寿命は先進国の中でもトップを走っています。超高齢化社会・少子高齢化社会という言葉はこれまでも数多くの場面で耳にしてきましたが、これからは100歳を超えて生きていく方々が決して珍しくない存在になるとされています。ここで肝心な整理の一つが、”長寿化=老後の生活が単に長くなる”というイメージからの脱却です。決して老いて衰える時間が長くなるということではなく、”長く生きるようになった年月の分健康に生きること=若々しく生きる時間が長くなる”ということになります。このパラダイムシフトが大切で、なぜ人生設計を見直す必要があるのかが理解できるようになり、この先を読み進める上での価値を確実なものにします。

②学び直しへの投資

 ①画像内にも記載の通り、本書の中ではこれまでの教育→労働(仕事)→引退と世代に分けた大枠の3分類ステージは終わりを迎え、新たにロールモデルのない多様な選択が求められるようになると説明されています。その中で重要な一つの考え方が「学び直し」です。長寿化と同時に、AI等の各種テクノロジーの成長により人の仕事が代替されるという話題も有名になっています。本書の中ではその学び直しの重要性をリカレント教育に近い形で紹介しています。リカレント教育は昨今では社会人の学び直しにおいて定着しつつある言葉ですがその歴史は古く、1960年代後半にスウェーデンで提唱されたとされています。言葉の定義としては学校教育と就労をフルタイムで繰り返すためにキャリアを一時中断して行う学びという理解が一般的ですが、日本のリカレント教育は諸外国よりも広く捉えており、就業しながら学ぶものや、学校以外の民間で学ぶものも含まれる傾向にあり、生涯学習との境界線は「仕事に活かす目的があるか否か」となっています。本書の中では人の仕事が代替される未来において既存のスキルを磨き上げながら変わらない職場で働き続けることの難しさを解説しており、キャリアを中断する勇気を持って学びなおすことも必要な選択だと紹介しています。

③無形資産を積み重ねること

 人生をより豊かなものにするために大切なことは「無形資産」を蓄えるということを説明しています。無形資産は有形資産と比較した際に撤回や代替の可能性が低いとされています。本書の中では3つに分類して紹介しています。

1:生産性資産
→仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすために役立つ要素。スキルと知識を主たる構成要素とするが他にも様々な構成要素が存在する。

2:活力資産
→肉体的・精神的な健康と幸福のことを指し、友人関係・パートナー・家族などとの良好な関係がこれにあたる。

3:変身資産
→100年の人生の中ではその過程で大きな変化を経験し、変身を遂げることになる。そのために必要な資産を指し、自身をよく理解していることや、多様性に富んだ人的ネットワークなど新しい経験に対して開かれた姿勢を持っていることなどが含まれる。

長い人生において、これまでの成功の定義であった有形資産の蓄えばかりに奔走するのではなく、長期的な視野で個人が将来の姿を強く想像し、 そのために必要な手段を選択する 「目的と手段の棲み分け」を確実に行い、 時に挑戦する少しの勇気を持つことで道は拓けるものに変わります。本書の中ではそれぞれ3つの無形資産を増やしていくためのポイントが細かく説明されています。

まとめ

さて、今回ご紹介した「超訳 LIFE SHIFT」ですが、ベストセラー書籍のエッセンシャル版と侮ることなかれ。しっかり外せないポイントが簡潔に詰め込まれている一冊です。人生100年時代という言葉は知っているけれど、詳しい意味には理解が届いていない方、すでに変遷が始まっているキャリアの考え方について思考を整理し始めることは豊かな将来設計のためにも大きく役立つものと考えます。原作に挑戦するための第一歩としてもオススメできる一冊でした。

購入リンク

*ベストセラーの原作はコチラ

*読みやすいマンガ版はコチラ

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