できるリーダーは、「これ」しかやらない

できるリーダーは、「これ」しかやらない

はじめに

総評

 残業時間は減らさなければならない。しかしダイバーシティやリスクマネジメントは強化され管理する領域は増える一方で、目の前のことに追われてしまい部下に向き合う時間の確保も十分にできていない、、
と悩めるリーダーへ「任せる」技術を用いて成果を最大化させるためのヒントが詰まった一冊です。

オススメの読み方

部下との関わりを整理しながら読み進めることをお勧めします。
後半は何度も読み返して役立てることのできる基本セオリーが詰まっているので、習慣化されるまでは繰り返し読み直すこともお勧めです。

こんな方にオススメ!

・リーダーになりたてで、プレイヤーとしての自分のスタイルが抜けきれない方

・部下に任せて成長を促したいが、自分で手を動かした方が早いと感じつい手出ししてしまう方

・目の前のことで手一杯だが、もっと部下への時間や労力を上手に増やしたい方

著者紹介

 著者の伊庭正康さんは、京都府に生まれ、1991年にリクルートグループに入社されます。リーダーになることへの苦手意識が強かった伊庭さんでしたが、抜擢されたことから一念発起し独自かつ効果的な「任せ方」を見つけ出されます。結果としてプレイヤー部門・マネジャー部門の両部門で年間全国トップ表彰を4度受賞し、営業部長や(株)フロムエーキャリアの代表取締役など要職を歴任されます。
 現在は、(株)らしさラボの代表取締役として企業研修講師などを行われており、営業リーダー、営業マンのパフォーマンスを飛躍的に向上させる独自の手法が人気を呼び年間250回を超えるセッションを行われています。

ポイント解説「ここを読め!」

①「トップダウンとボトムアップを使い分ける」

 現代においては多くのリーダー論が世の中に広まっています。それぞれに良さがあり、組織に見合ったパターンで活用していくことがベターなのですが、その中でもボトムアップの考え方が行き過ぎてしまい実践レベルでは「みんなで決めよう」ということに重きを置きすぎている場合があります。考え方そのものは部下の参画を促す素晴らしいものですが、責任の所在までもが不明瞭になってしまっては問題です。

 本書で紹介しているのは、ボトムアップを最適な方法で活用し部下の参画を引き出しながら、責任が必要な領域においてはトップダウンを忘れないという考え方です。具体的には、何かを決定する際に「やるべきこと(方針)」はトップダウンで定めてあげた上で「やり方(方法)」はボトムアップで任せていくという取り組みになります。この形を大切にすることで責任の所在を明らかにした上で部下の主体的な参画を引き出すベースが生まれるようになります。

②「Theyの視点で語り続けること」

三流のリーダーは「業務の指示・確認」と「ご機嫌取り」しかせず

二流のリーダーは「目標を達成しよう」「シェアNo.1へ」と会社の幸せを熱弁する

伊庭正康 ,2019 ,108

優秀なリーダーは部下に頑張ることを強いるのではなく、社会やお客様のために何を成すのか「They(社会の誰かまたはお客様)の視点」で何をなすことが重要なのか、何のためにやるのか、そしてその先にはどんな景色が待っているのか、それら”使命”を自らの言葉で部下に対して伝えることができます。

Fact(事実)に基づいて、仕事の価値・可能性を感じてもらうことで部下のやる気に火をつけられることで結果として頑張る姿を引き出すことこそ重要であると考えられます。

③いかなる時も迷わないための準備をする

 リーダーも人間です。自信がなかったり、熟慮する時間がなかったり、経験がない領域であったりと問題に直面する中でネガティブな瞬間も多々あります。しかしそれらを理由に決断を先延ばしにすることはあってはいけません。決断の先延ばしは一時的に問題から目線を外しているだけに他ならず、最悪の場合は問題の増殖の原因にもなります。また先延ばしにしてしまったが故に根本解決のタイミングを逃し、対処療法でその場を乗り越えまた同じような問題を繰り返すきっかけにもなってしまいます。

即断即決ができるリーダーに重要なことはリスクを強く意識した上で「ひょっとしたらこうなるかもしれない」を想定し続けること、そして先んじて手立てを考えておくことにあります。
「このリーダーに相談すれば確度の高い返答をもらえる」といった心理的安全性から部下の主体的な関与を引き出していくのです。

【現場リーダーが持っておきたい判断軸】

・お客様目線

→社内事情よりもお客様事情

・公平な視点

→過去の判断とのブレは存在しないか

・リスク視点

→最悪の場合何が想定されるか

・目的視点

→大きな目的から逸れてしまっていないか

・効果視点

→適切な効果は期待できるか

・回復視点

→失敗しても回復できる程度のダメージか

・長期視点

→目先の利益でなく、長期的に考えてどうか

伊庭正康 , 2019 ,224-225

まとめ

さて、今回ご紹介したできるリーダーは「これ」しかやらないですが、タイトルはインパクトがあり無駄を省くことに注力した内容かとイメージができてしまいますが、実際の内容は「任せる」ことを徹底するために必要なリーダーの準備と関わりについて大切なことが詰まっています。紹介した内容以外にもコーチング手法のGRROWモデル、モチベーションを引き出すWill-Can-Mustの方程式、また過去記事で紹介したストレングスファインダー(下記リンク参照)の活用方法などリーダーシップをベースに、マーケティングやマネジメントのセオリーも多く詰まっています。総じて、さすが研修講師を本業にされている筆者ならではの構成で最初から最後まで読みやすさ抜群で、リーダーとしての自分のベースを作る過程にもオススメの一冊です。

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