NEW TYPE ニュータイプの時代

NEW TYPE ニュータイプの時代

はじめに

総評

 

 従順・論理的・勤勉・責任感の強いこれまでに優秀な人材といわれてきたオールドタイプと、自由・直感的・わがまま・好奇心の強い人材ニュータイプを対置している一冊です。VUCA時代・人生100年時代というキーワードに代表されるように人々の行動様式は急激な変化を繰り返しています。20世紀の後半から21世紀の前半まで50年もの間望ましいとされてきた思考や行動様式も伴って変化が必要であり、今後大きな価値を生み出し、評価され本質的な意味での「豊かな人生」を送るためのスタンダードを紹介している一冊です。

*人生100年時代についてはこちらがおすすめです。

こんな方にオススメ!

・変わりゆく社会に漠然とした不安がある方

・組織の在り方、部下育成などに変化が必要だと感じている方

・将来を見据えてアクションを定めたいと考えている方

著者紹介

 著者の山口周さん(独立研究者・著作者・パブリックスピーカー)のご紹介です。
慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了の後、
電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画されます。
専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成で『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?─経営における「アート」と「サイエンス」』(光文社新書)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』(ダイヤモンド社)など、多数の著書を出版されています。

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ポイント解説「ここを読め!」

①モノが過剰になり正解がコモディティ化している現代社会

 かつての価値創出は「問題を解決し、モノを作り出す能力」とされてきました。しかしこれらの価値創出は「問題を発見し、意味を創出する力」へと変化しています。どのような時代においても望ましいとされる人材の要件は、その時代特有の社会ステムやテクノロジーによって規定されます。つまり、世の中の要請に対して相対的に希少な能力や資質は”優秀さ”として高く評価され、逆に過剰な能力や資質は”凡庸さ”として叩き売られます。

 過去の時代はモノが少なく問題が多い時代でありました。当然ながら問題を解決していく能力は高く評価されました。大して現代は多くのモノに溢れていて、差し当たって今日を生きるのに多くの人々が苦労しない時代となりました。便利な反面、人々は構想力を失いました。「何のために」という意味を喪失したまま時間が流れてしまっているのです。「望ましい状況と現在が一致していない差分」に問題があるとすると、その「望ましい状況」が明確になっておらず問題は表面化しないため希少化して来ています。これからはその問題を発見できる人が高い評価を受けることになります。
高い評価を受けるのは”問題解決者:プロブレムソルバー” から”課題設定者:アジェンダシェイパー”へと変化しています。

②VUCA化の本質

 VUCA時代というキーワードは予測不能で変化が激しい時代としてよく耳にしますが、本書では以下のように整理されています。

1)経験の無価値化
→経験豊富という要件を無条件にポジティブな評価としてきた過去から、環境が急激に変化していくこれからは蓄積した経験の価値が価値を失っていくことの始まり

2)予測の無価値化
→企業も個人も何かを実行する際に中長期的な計画を立てることは至極当たり前とされてきたが、これからは不安定かつ不確実な時代に突入するため、計画をたて実直にそれを実行し続けることはリスクであると言わざるを得ない。これからはまずは試し、結果を見ながら微修正を繰り返す「計画的かつ行き当たりばったり」という柔軟な対応が必要

3)最適化の無価値化
→周辺環境に最適化してパフォーマンスを高めようという取り組みも、VUCA時代は連続した変化を繰り返すためどこかの時点で最適化を目指すアクションは次の変化の時点では時代遅れとなる。最適化路いう概念そのものを見直し、柔軟度にこそ比重を置いていくことが必要。

③自分の価値が高まるレイヤーで勝負する

 「世界は公正で、努力は報われる」という言葉に背中を押されてひたすらに正解と思われるアクションを繰り返してきたこれまでの時代、その世界観の中で努力が喚起されることは素晴らしいことですが現代やこれからは「モノを生み出すこと」だけでは価値創出ができない時代になって来ました。モノが溢れる時代においては努力原理主義はその目線を正しい位置に修正してあげることが必要だという考え方です。本書では「努力のレイヤーを変える」という表現を用いています。

努力をしているのに、時間もたくさんかけているのに結果が出ない…
このような状況には仕事(環境)が求める資質と本人の資質がフィットしていない可能性があります。
もちろん、そのまま努力を継続するという選択も存在しますが、情報を集めてレイヤーを変えるということも判断の一つです。かつての努力原理主義から考えれば「それは逃げたと同じ」と考えられる方もいるかもしれませんが、あてがわれた場所で無批判に受け入れひたすらにわかりやすい努力を続けることも、問題を見つけたり、自身が最大の価値を発揮するための挑戦・選択からの逃げと捉えることもできます。

努力の方向と自分の適性がフィットして、技量の向上や価値の創出に結びつく環境を選択するということも大切な判断の一つになります。

まとめ

さて、今回ご紹介した「NEW TYPE ニュータイプの時代」ですが、記事ではキャリアや大枠の考え方を中心に紹介しました。書籍の中では部下育成や組織運営、活動に「意味」を加えていくことで放出されるエネルギーの可変など幅広い情報が盛り込まれています。「最近の若者は…」「これだから昔の人は…」どちらの立場から読んでも必要な情報が詰まっています。ぜひお手に取ってみてください。

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